出口が見えない闇の中で――天体のメソッド第10話。

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9話でつらいって言ってたのが甘かったって思い知らされた。もっとつらかったこの10話。


乃々香を花で表すならひまわりなんですよね。ピンナップとかで持っていることも多いし、色使いも乃々香の髪と似ているし、受ける印象も近い。冒頭、円盤の見える場所へ急ぐ乃々香たちが脇を通り過ぎたひまわり畑が全て枯れているのが、もちろん季節を考えると当然なんだけど、それでもこの後乃々香にのしかかる重い運命を暗示しているようだった。


汐音が自分の考えていることを打ち明ける気になったのは、きっと乃々香の一途な呼びかけに心動かされたからなのに、その打ち明け話が皆をバラバラにし、湊太や柚希、こはるまでも乃々香を避けるようになってしまったのって、それこそ「どうして……」としか言いようがない。さらに言うと、この打ち明け話によって、乃々香がまたもや重要なことを隠していたことになってしまった。柚季は、「ノエルのことで隠し事はなしにして」と言っていたのに、乃々香はノエルの消失を言い出せなかった。これは柚季には裏切りに感じられても仕方ない、少なくとも乃々香自身そう思っているんじゃないだろうか。
汐音は帰りの車中で苦い顔をしていたけれど、あれはきっと、何かを変えようとして打ち明けたのに何も変わらなかったという無力感、いや、たしかに変わりはしたけど、それは皆がバラバラになってしまったという変わり方で、その前に「誰も失いたくない」と言っていた乃々香の思いとは真逆に行ってしまったことへの後悔だったのかな、と思った。


願いが叶うとノエルが消えることに対して、汐音、柚希、湊太は成就を妨げれば良いって結論に達し、こはるはただ立ち尽くしてしまい、乃々香だけがノエルを失わずに願いも叶う方法を探そうとしてる。そんな中でノエルは、最後まで希望を捨てようとしない乃々香に真っ先に釘を刺したんですよね。お別れは避けようがないのだと。ノエルには間違いなく悪気はないし、突き放そうという意図もないのだろうけど、相変わらず残酷だなあと思う。


前に、乃々香はほとんど泣かない強い子だと思ったのだけど、振り返ってみればその乃々香が3話連続で泣いてしまってる。それに、母に救いを求めるような、「どうすればいいの?」というような思いの吐露までも。
乃々香はことあるごとに母を思いながらも、「私は大丈夫、お母さんとの約束もちゃんと守ってるよ。だから、心配はしないで。」とでも言うかのように気丈に振るまい、自分で何とかしようと頑張ってきたのに、とうとう弱音を抑えきれなくなってるみたいで、いくら頑張り屋さんな乃々香でも、これ以上の酷な出来事には耐えられなさそうにいっぱいいっぱいになっていて、痛々しくて仕方がない。


7年前、最愛の母を失くし、道連れに大切な友達も全て失った乃々香が、また再び大切な人を失おうとしている。
ようやく願いを、友達を、取り戻したというのに、今度はノエルを失うことで、また全てを失ってしまうのではないだろうか?


ほんと、運命は乃々香に厳しすぎる……。