二人で幸せになってほしいのに――天体のメソッド第9話。

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見返すのを躊躇するくらいつらい回。あのきつかった3話よりもずっとつらい。


乃々香と汐音は二人でひとつ、なのに。


汐音が引っ越し準備を早々に始めてるということは、もしこの後何が奇跡でも起こって、ノエルの問題が解決したにしても、乃々香と汐音が引き離されてしまうのは確定してしまったはず。だって、動き出したらそうそう止めようがないだろうし。やっぱりやめた、街に残る、なんて訳にはいかないだろうから。
汐音の苦悩はどれほどのものだったのだろうか。乃々香に冷たく辛辣な言葉を投げつけて自分を嫌ってもらおうとしながらも、見つかった時の一瞬の笑顔や、力なく落とされた右手、溢れる涙からは、本心は真逆なんだって痛いほどよくわかる。乃々香を拒絶するたび、彼女を傷つけると同時に自分も傷ついていく。けれどそうするしかないなんて。

乃々香は乃々香で、ひたすら健気で。汐音が来ると信じて北美祭の準備を頑張るのは、柚季の時と同じですよね。けれど、汐音にとっての問題は乃々香の頑張りでは解決しないどころか、乃々香の努力が実を結べば汐音が考える最悪の事態になってしまう。
そうとは知らずに健気に準備を続けて、信じ続ける乃々香の真っ直ぐさは、それが純粋なだけに見ていてつらすぎた。
そしてやはり、乃々香は自分を責めてしまうんですよね。冒頭でも、湊太の問いに「ううん、私のせい」と。汐音に来ない理由と聞くときも、やはり「私を許せないから?」と。汐音の拒絶の理由はそうじゃなくて、逆なのに。乃々香は友達は信じられても、やはりどこか、自分を信じられないんですよね。それはやはり、思い返すことをやめてしまった過去を負い目に感じていることから来ているのだろうか。

乃々香は汐音を諦められるはずがないから必死に追いすがるしかなくて、そんな一途な彼女に汐音は冷たい拒絶を返して揺らぎそうになる自分の決意を守る他なくて、そうされても乃々香は退けるわけもなく汐音に語りかけ続けるしかなくて……と、お互いに傷つけ合うしかない堂々巡り。

なんて残酷なんだろうか。

挙句の果てに、ノエルがあんなことになって。汐音はまさか、守ろうとした二人を両方共守れずに、ただ失うだけになってしまうのだろうか?
そんなの、ひどすきる。