凍りついた心も、いつかは融けるのだろうか――天体のメソッド第6話。

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ほのぼの温泉回みたいな顔して、結構そこかしこで重いですよ今回も。まあそれがいいんですけど。


ノエルを誘おうとした時に汐音に先約があると告げられた時の乃々香は寂しそうな表情をしていたけど、単にアテが外れたって感じではなかった。
乃々香にとってはノエルに先約があった事自体よりも、その相手が汐音だった事に切なさを感じていたんだと思う。どれだけ強く望んでも汐音は自分には好意を向けてくれない、そしてそれは自分がかつて冒した過ちのせいで、なんとかしたいのに糸口もつかめない、そんな状態なのにノエルはいとも簡単に汐音の好意を受けつつある。そう思うと、自分の無力さややってしまった事の大きさを再確認させられて、切なさを隠せなくなかった、そんな感じなのかなと思う。


柚季の「ありがとう」という言葉で乃々香は眠れなくなって、何か考えこむような表情で外を眺めていたけど、どういう心境だったんだろう。
仲直りはできたけど、それは7年前の自分に原因があって、ありがとうを言われるような資格なんてない……とか、そんなこと考えてたんじゃないだろうか。自分に厳しい乃々香のことだから。もしくは、未だに拒絶され続けている汐音のことを考えていたんだろうか。


「いい娘だ」とほめる柚季に乃々香は「どうかな」と返した。
ただの謙遜ならいいけど、なんかそうじゃない気がする。父に対しては文句のつけようがないいい娘だと思うのだけど、ひょっとすると母に対してはそうじゃなかった、少なくとも乃々香自身はそう思ってるのかもしれない。
父が出してきた母親の写真への反応も、乃々香は母親に負い目か何かを感じているんじゃないかと思わせられる。一体何があったんだろう……。


ノエルの「友達」という言葉に汐音は声を荒らげていたけど、その自分に言いきかせるような口調と、幼子に対して大人げない拒絶をしてしまう態度から、彼女が抱えている傷の深さが想像できて、切なくなった。
ノエルと仲良くなって、また「友達」ができてしまうのが怖くてたまらないのだと思う。7年間拒み続けて、ずっと想い続けてきた乃々香と再会してしまっても、やはり必死に拒絶して、2度と友達など作るものかと思っていたのに、ノエルはずかずかと汐音の心に踏み込んできて、居座ろうとして、しかもそのとおりになってしまいそうなのだから。
また乃々香のように自分を捨てていくのではないか、もう二度と体験したくない、そんな原因をまた作ってしまうなんて許せない……と。


それにしても、柚季・乃々香ペアとノエル・汐音ペアがぎりぎりのところですれ違い続けるのはヒヤヒヤして、ホント心臓に悪かった。あそこで乃々香と汐音が出会ってしまったら、汐音は乃々香に冷たい態度を取ってしまわずにはいられないだろうし、そうなったら二人ともまた傷つくだろうから。


ところで、乃々香の願いがもしも、7年前のあの頃のように5人が仲良く居られますように、みたいなのだったとしたら、ノエルはそれを実現しつつあるのかもしれない。
本人は自覚なさそうだけど、前回、柚季に乃々香のアルバムを渡して桟橋に行かせたのと同じように、今回は頑なに殻に閉じこもる汐音の心を融かしているのだし。