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余韻というか、ショックというか、切なさ、辛さ、そういったものがないまぜに、ぐちゃぐちゃになって、大泣きするしかなかった。
前々から事あるごとに書いてますけど、見ていると悲しさや切なさで気分が沈んでいくような物語が好きなんですよね。気が滅入るし、泣き続けるのも辛いし、表面上いいことないと思うんだけど……それでも見返したくなる、そんな作品がたまらなく好き。
1話の時点でその片鱗が見えたように思った、だから見続けようと思ったこの「天体のメソッド」ですけど、3話でこんなに泣かされるとは思ってなかった。まだ半分どころか、1/3も進んでないのに。
今回、乃々香がかわいそうでかわいそうで、本当につらいエピソードだった。
汐音と打ち解けようと健気に頑張れば頑張るほど辛辣な言葉ばかりを返されるし、あまつさえ本気でぶたれてしまうし、はぐれた彼女は見つからないし、逆に自分が迷子になるし、寂しさに追い打ちをかけるように日は暮れ、ひどく転んで傷だらけになって……と、一つ一つそれ自体が乃々香の心を折るには十分に酷な出来事なのに、悪いことは続くっていうのを地で行く。必死で汐音の名前を呼ぶ悲鳴にも似た声や、幼稚園跡でとうとう心折れてしまってうずくまる姿が痛々しくて、なんかもう見ていられなかった。
汐音を探して走りだした時、乃々香の心にあったのは、心配や、班長としての責任感だけじゃなかったと思う。汐音に幾度となく拒絶され、無意識のうちに忌避感が膨らんでいて、そのせいで汐音が居なくなったのに気づかなかった、理由も分からないまま嫌われたくないから頑張ろうって思ってたのに、結局怖気づいてしまっていた、そんな自分が許せなかったという思いもきっとあったんだと思う。ああまでされては無理もないと思うのだけど、それが許せないというのが乃々香の責任感というか、自分に対する厳しさなんだと思う。
片や、迷子になった乃々香を探す4人の間で交わされる会話も、考えうる限り最悪の流れで。
以前この町に住んでいたってことは、別に隠していたのではなくて話す機会がなかっただけなのに、あの流れでは決してそうは取ってもらえない。隠していた、そして影で笑っていたんだろうって取られるしかない。
あの4人にとって7年前の出来事は決して忘れられるはずがないし、ましてやその"張本人"がそのことを忘れたなんて信じられるわけがないっていうのも、この疑念を補強してしまうんだと思う。乃々香にはきっと、それを忘れてしまうだけの理由があったにも関わらず。
最悪の向きへの流れを、汐音がわざと作ってるんじゃないんだろうっていうのが余計に切ない。乃々香がただ嫌いで苛めたいなんてはずないのだから。汐音にとって乃々香は大切な、大好きな友達だったのに、7年前のあの日、乃々香は何も言わずにどこかに行ってしまって、乃々香にとって自分は別にどうでも良かったんだ、裏切られた、みたいに思ってるんじゃないだろうか。乃々香だって言いたかったんだけど、そんなこと知る由もなく。かと言って、あの時裏切られた恨みを募らせてひたすら苛めてるわけでもない。恨みしか残ってないなら、幼少の頃の写真を大切に取っておいたりはしないし、だいたい、苛めたいなら汐音から色々しそうなものだけど、乃々香につらく当たるのだって、乃々香から話しかけた時の返答でしかないのだから。たぶん、7年間ずっと引きずってきた恨みと、それでも乃々香が好きなんだって気持ちが混ざってただでさえ心かき乱されているのに、ひょっこり戻ってきた本人が目の前に居るなんて耐えられなくて、それで乃々香を遠ざけて心を鎮めたくて、結果として冷たく当たるしかないんだと思う。そうして、きっと無意識のうちに乃々香を傷付ける向きに流してしまってる。もしくは、ただ思いのままに行動した結果が自然に乃々香が一番傷付く結果になってしまうのか。どっちにしろ、こんなことなら、ただ嫌いで苛めているほうがマシなのかもしれない。それなら汐音をただの悪者にできるけど、そうじゃないのだから。
こはると湊太は話の間比較的冷静、というか沈黙を守っているけれど、二人共穏やかではない、と思う。
湊太にしてみれば妹が奇行に走るきっかけとなった原因だし、こはるにしてみれば仲良しだった幼馴染がバラバラになった原因だし。
柚季が必死に否定するのはなぜか。乃々香を信じたいというのもあるだろうけど、自分は騙されてたなんて信じたくないっていうのもあるような気がする。
その否定の仕方も、『乃々香がたとえ"あの子"だったとしても、私の友達』ではなく、「本当に("あの子"が)乃々香かどうかなんて、わからない(違うかもしれない)」、友達だと思っていた子が"あの子"なんて信じたくないということ。つまり、乃々香が"あの子"ならば、乃々香は忌むべき相手であるってことになってしまう。
柚季の祈りのような願いは、事実が確定した途端に裏返り、強い敵意に変わってしまうに違いない。ついに、初めて出来た仲間が実は全ての始まり、張本人だったなんて。ましてやそれを隠していたんじゃないかと疑わしいなんて。
このあと、柚季は乃々香にどんなにきつく当たるんだろう。怖くて考えたくもない……。
本当に、考えうる限り最悪の方向。
これだけでもう十分なのに、7年前を思い出すなんてなんて仕打ちなんだろう。その思い出は確実に乃々香を責め苛むのだから。
柚季の苦しみの原因を自分が作っていたということ。
柚季との関係はこの後決定的に変わってしまうだろうということ。
汐音の敵意の源も自分の過去にあったということ。
結果的に皆を騙していたのと同じだったということ。
何もないときに思い出したとしても酷いことになったはずなのに、今、ここでというのが本当に酷い。
加えて、ノエルの告白も重い。
先日(2話ラスト)、本人に面と向かって、町から出ていってと言ったのだと、気付かされるのだから。
そうとは知らなかった、なんてのは乃々香にとってなんの慰めにもならず、なんて酷いことを言ってしまったんだろう、それも一度ならず二度三度、と自分を責めてしまうに決まってる。ノエルはそれでも乃々香に優しくするのだろうけど、乃々香にはその優しさが逆に辛く感じられてしまうのだろうと思う。
あの告白はこの、乃々香が過去を思い出した場面で為される以外にないし、ノエルには何の悪意もないにせよ、結果としては乃々香を更に追い詰める事になる。
心も身体もボロボロになった乃々香を待っているのは疑念と敵意でいっぱいになった同級生たちで、唯一の味方のノエルには酷いことを言ってしまったばかりで、その子にすがるなんて許されるはずもなく。
何でも出来て、健気で頑張り屋さんで責任感も強い乃々香だけど、ただの中学3年生の少女でしかないのに、これだけの重荷を背負わされて、もうとっくに心折れてしまってるのに何も終わっていないどころか、これからが悲劇の始まりとしか思えない。
これが残酷でなくてなんというんだろうか。