今、過去を描くなら。

前に、16:9の映像を見慣れた世代は4:3の映像に非日常感を感じるようになるのだろうか、って話をしました。今回もそれに似た話。
映像作品で、登場人物の過去を描く際に使われる手法として、古いフィルム風に映像を加工する方法がある。セピア色にして、フィルムノイズを加えるもの。丁寧にするなら、揺れも加えることになる。
この手法、確かに古さを視聴者に感じさせることは出来るけど、そろそろあまりにも古すぎる画になってきているのではないか。遠い過去のシーンを描くならいいが、現代劇で過去、それも十数年前くらいのシーンを描くことを考えると違和感があるように感じる。
家庭用ビデオカメラのハンディカムが発売されたのが1985年だから、既に20年以上経過しているし、テレビ番組の製作現場だともっと遠い昔にフィルムカメラは廃れている。映画製作にはまだフィルムが多用されているとはいえ、フィルムの質が向上するに従って退色度合いなんかも減り、劇的に劣化することはなくなっているだろう。
このように、実世界での「ちょっと昔の映像」がどう変化してきているのかってことを考えると、物語中で過去を描く手法も変化が必要だと思う。


おそらく、現代もしくは近未来を舞台にした作品中で十数年前を描くなら、一昔前のビデオ風にするのがふさわしいんじゃないかと思う。どこかしら発色が良くなく画質が粗いのだけど、モノクロでもなく映像の動きも普通。そう言う加工がちょうどいいんじゃないかな、と思う。